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「ゼロの機械魔 二ページ目(ゼロの使い魔+オリジナル)」

ゲンクラ (2007-06-17 21:43/2007-06-24 20:11)
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 ぽつぽつ、心に隙間が開いていく。
 ぐるぐる、心にざわめきが生じていく。

 ゆらゆら、なんとなくで漂流してはいけない。

 だから、

 ぐらぐら、迷ってでも答えを求めようとした。


 難しい間がある。どう切り出せばよいのか、わかるようでわからない。切り出すのにも勇気が必要らしく、ルイズは困っている。
 なら自分から名乗り出て、話の題となる内容を提示すればよいのだろう。
 ハロウは、そう思って口を開こうとしたが、やめた。白いが、弱々しさを感じさせるほどじゃない、健康的に見える肌の美しい少女、ルイズが、先に口を開いたからだ。


    ゼロの機械魔 〜Machine seavant〜 二ページ目


「ねぇ、あんたって、生きてるの?」

「はい。主に頂いたこのルーンのおかげで、ハリボテではありますが、このように意思を持って動けるようになりました」

 唐突に、妙な質問だ。そう思いながらも尋ねたルイズだったのだが、対して全身作り物の少年ハロウは、特に迷うこともなくすんなりと返してきた。
 意思を持って動く……というのはずばり、次の授業が行われる教室を目指して二人が歩いていることを言うのだろう。
 が、正直当然のこと過ぎて、ルイズにはいまいち理解しがたい。だって歩くことなど彼女にとっては当たり前、人間なら、誰だって出来るのだ。
 そりゃあハロウのような『人形』が意思を持って歩くのはすごいこと、なのだろうが、それが『生きている』ということなのかといえば、微妙だった。

「それじゃあ……ねぇ、あんたの属性ってなんなの? 火? 水? 風? 土? どれ?」

「おそらくは、そのどれにも該当いたしません」

「ふぅん……てっ! 何よ! それ! 全然駄目じゃない!」

 先程まではハロウ相手に様々な期待を膨らませたルイズだったけれども、今は少し迷っていた。
 コルベールは彼に多大な魔力があると太鼓判を押して去っていった(ほんの二分ほど前のことだ)ものの、それでじゃあ一体何が出来るのか、と考えると、わからない。
 何せ彼女にとってハロウはよくできているものの所詮は人形でしかないのだ。
 ハルケギニアには、不思議な力を持った人形なんてざらにあるものの、ハロウはそのどれとも似ていない。人として完成され過ぎている印象があった。
 確かにその容姿は生身の人間を思わせないほどに綺麗なのだが、それが逆に不可解なのである。
 果たして彼女の知る人形とは、此処まで細かい造りを凝らされたものであったろうか? いや、違う。

 ハルケギニアにおいて出回っている人形といえば、毛糸で編んだ動物や、木で出来た模型なんかが関の山で、彼のように等身大の、それも人間ソックリの物を、ルイズは一度として見た事がない。
 何らかの神を模したような像ならば、もう何度も見ている。トリステイン魔法学校の中にも外にも、そんなのたくさんある。
 由緒正しきヴァリエール家の豪邸にだって、たくさんだ。たくさんある。けれど、ハロウのように人間の持つ独特な質感を再現したものは見た事がない。

 一体誰が彼を造ったというのだろう?
 ルイズには人形作りの難しさなど、想像でしか思い浮かべられないものの、それでもハロウのような物を作ろうとしたら、それこそ気の遠くなるような精神でもって、本当に丁寧に作らないといけないんだろう、みたいな感想を抱くことは出来る。
 果たしてハルケギニアに、それほどの実力を持った技師がいただろうか?
 ルイズも人形は人並みに好きだが、これといって特別興味があるわけでもない。
 だから考えてみたとしても引き出せる情報の量は微々たるもので、手がかりの発掘は困難を極めるだろう。いや、あるかどうかすら謎だ。
 というわけで、彼女に出来ることといえば一つしかなかった。

「あんたって、誰が作ったの?」

 聞くことである。これがいちいち考えるよりもずっと単純かつ、最も簡単であることは安易に理解できるだろう。
 しかしこれには一つ欠点がある。簡単だ。例え聞いても、問いかけた相手がその問いの答えを知らなければ、どうしようもないということ。

「わかりません」

 こう言われてしまっては、もうどうしようもない。ルイズは頭を抱え込んだ。

「先程から何度か調べてみてはいるのですが、どうやら私に内臓されていたはずのデータが飛んでしまっているようで、解析できません」

「データ? 飛ぶ? カイセキ? 何……それ?」

「わかりやすく言えば、記憶喪失、みたいなものです。それも、元が全て消失してしまっているため、復活の余地がありません」

 困った事になった、と、ルイズは頭を悩ませる。
 使い魔が自分のことを知らないとなると、後は本で調べるなりして情報を集めるしかなるなるわけだが、如何せん、この学校の図書室のことを思うと、頭痛を感じずにはいられない。
 いくらなんでも情報が多すぎるのだ。調べたいものを限って秘書に伝えれば本は集めてもらえるものの、人形とか、技師なんかの不特定多数な物を指定してしまうキーワードを使ってしまった日には、彼女の自室が、本に埋もれる事になってしまうだろう。
 過去にも、『魔法を使うコツ』で本を集めようとして、悲惨な目に会った覚えがルイズにはある。今でも彼女のトラウマとして記憶の片隅に残っている嫌な記憶だ。

「ですが、マスターに刻んで頂いたこのルーンのおかげで、体の使い方に関してなら、隅々まで理解できるようです。尚、その過程でいくつかの武装が確認できました。どうやら私は、元は兵器として使われていたようですね」

「ヘイキ?」

「……戦争の道具、です」

 ルイズの脳に、閃光が走った。

「なんですってっ!? それじゃああんた、戦争してたの?」

 自分が呼び出した使い魔が、戦争に使われていたというのも強烈である。
 まぁ、それはそれで良いステータスと呼ぶことも出来そうだが、目の前にいる普通の少年、の格好をした人形が戦争をしていただなんて、思えなかった。

「可能性の一つとしては、十分に考えられます。ですが、確定したものではありません。先程も言いましたが、私は記憶を失っています」

 ここで、ルイズの脳裏に、召喚したばかりのときのハロウの姿が蘇る。
 薄汚れていて、所々に傷が入っていて、使い古されたような印象を受けた。それはつまり、彼が”そのような”使い方をされていた証明ではないだろうか?
 やはり自分の使い魔は、元は戦争の道具だったのだろうか?

「それで……あんたって強いの?」

「……この地にどれだけの戦力が必要なのかはわかりませんが、基本的な戦闘能力に関して、特にその汎用性には、目を見張るものがあると思われます。しかし……」

「しかし? 何?」

 ハロウが、自分の腹、人間で言う肝臓のあるだろう部位を指して言った。

「通常なら、この奥にあるバックパック……魔力の貯蔵庫とされる空間に、私の燃料となる魔力を蓄えることで、長時間の活動が可能となるのですが、それを行うためには、おそらく専用の機具が必要とされます。しかし、それがどこにあるのかは不明。もしかしたら、此処にはないのかもしれません。あ、でも、此処は魔力の濃度が非常に濃いようなので、実際に動く分にはあまり問題ありません」

「此処にはないって……どういうことよ?」

「はい。如何せん記憶が消えてしまっているので確信はありませんが、今私と主がいるこの世界は、もともと私がいたはずの世界とは、まったく別の場所のような気がします」

「……?」

 ハロウの言っていることの意味がわからなかった。まったく理解できないというより、その『世界』というものの境界がわからなくて、判断に迷うといった感じだ。

「これは仮説なのですが、マスターが召喚の魔法、サモン・サーヴァントによって呼び出した私は、おそらく、この世界『ハルケギニア』には、存在しない物体なのではないでしょうか?」

「ハルケギニアにないって……それじゃあどこから来たって言うのよ! サモン・サーヴァントの呪文は、ハルケギニアにいる動物や幻獣を呼び出す魔法なのよ?」

 そう考えてみれば、今回の儀式、まったくもって訳の解らないものだったように思う。
 何度も失敗して、それでやっと手ごたえを感じたから見てみれば、出てきたのは生き物なのかも怪しい、ハロウという存在。
 何らかの力はあるようだが、未知数にも程がある。戦争が出来た、と仮定できるほどならば、自分にもやはり何らかの才があるのだろうが、それがわからないのであれば、ヒントにはならないのだ。

「それなのですが、ちょっと左肩を見てみて下さい」

 言われたとおり覗いてみる。
 文字が書いてあった。しかしルイズには、異国のものらしくて読めない。

「……やはり読むことが出来ないようですね。ちなみにこれは、『メトロチック・メイジス製アンドロイドTDFctナンバー001』と読みます。メトロメチック・メイジスという名称に、心当たりはありますか?」

「いいえ、ないわ。聞いたこともない」

 ハルケギニアにある人形とは名前の付け方の時点で違いがあるようだ。なんとなく『別の世界』という存在が、あるように思えてきてしまう。

「そのようなので、この世界ハルケギニアと、私に何らかの関わりがあると思われる場所、メトロチック・メイジスには直接的な繋がりが見られません。ハルケギニアにおいての魔法使い、メイジと、メイジスの部分が被っているには被っているのですが、それも関係があるのかどうか……」

 出てくるのは謎ばかり。解読不可能。ルイズが呼び出してしまったのは、正体不明の使い魔であった。

 しかし、ここでルイズに、一つの疑問が浮かび上がってくる。
 それは普通なら、聞くのも馬鹿らしい質問なのだが、得体の知れないハロウを相手にした上では、その方程式に意味などないようだ。

「ねぇ、だったらあんた、どうして私の使い魔になったの? 記憶、ないんでしょ?」

 頭のいい奴だから、今度もまた直ぐに答えが返ってくるのだろうと思って聞いた。
 が、しかし、その予想は外れていたようで、何やらハロウは頭をかしげて、真剣に悩んでいるようである。
 でも、やっぱり何らかの答えは出せたのか、彼は顔を上げて、穏やかな表情で口を開いた。

「それはおそらく、このルーンに関係があるのだと思います。このルーンが私に、あなたに忠誠を誓えと訴えかけました。だから……なのだと思います」

「何よ、それ? それじゃああんた、そのルーンに言われなかったら使い魔にならないつもりだったの?」

「え? そ、そのようなことは……」

「じゃあどうなの? あんた自身は、どう思ってるの?」

「私……自身……」

 ルイズは、どうしてだかムカついていた。
 よくわからないものが心をモヤモヤさせて、それが気に障って仕方がない。イライラが募る。
 相手に自分自身の答えだとか聞いておいて、自分自身の心も、よく、わからない。


 ぽつぽつ、心に隙間が開いていく。
 ぐるぐる、心にざわめきが生じていく。

 ゆらゆら、なんとなくで漂流してはいけない。

 だから、

 ぐらぐら、迷ってでも答えを求めようとした。

 自分は兵器。自分は機械。
 なら、自分自身の思い……とは、一体なんなのだろうか?


「やっぱり……いいわ。聞かない」

「へ?」

 思いもがけない言葉だった。だから初め、彼女が何を言ってるのか理解できなかった。
 しかし直ぐに、ハロウの『頭脳』は答えを導き、それを伝えてくる。今はもう考えなくていいと、そういう答えのようだ。

「それより、早く教室に行くわよ。まだ授業……て言っても、呼び出した使い魔との仲を深めるとか、そうゆうのだと思うけど、受けないわけにはいかないから」

 そこで、ハロウは思った。あぁ……そうか、彼女も辛かったのだろうと。何が辛いのかも自分にはわからないが、自分と主は、今は解放されているのだと、そう思う事にした。

「……はい! 行きましょう。私は、どこまでも付いていきます」

 考えるのをやめてはいけない、とは、思う。
 でも、休んでもいいのだとも、思った。


  二度目の懺悔


 なんか、二話目からいきなり難しいお話になってしまった気がします。二人の距離感や関係性に関して述べるためにも書く必要のある話、それも早急に書かないといけない話だと思ったので二話目に持ってきましたが、話として楽しめるものに出来たかが不安でたまらない……。
 前回同様、〆の良さに助けられてる感じです。終わりよければ全て良しの方程式は小説に当てはまるものじゃないんで、次回からはもちっと楽しめる内容にします。
 ただでさえ『生きた機械』と『人間』の関係は複雑なのに、ゼロの使い魔の世界観の場合、まず『機械』という存在を伝えるところから出発しないといけないんで難しい……。
 まぁ、わかり難いからこその面白さっていうのもあると思うので、この設定、この方針で突き進もうと思っております。次回からは大分軽いタッチのコメディになる予定なので、原作第一巻の終わり辺りまではすらっといけるはず。
 しかしどうやっても、オリジナル設定の宝庫みたいなハロウがいる限りある程度の文章量が要求されるわけで、新鮮かつ難解、みたいな雰囲気ができかかってます。改良しないと……。


 ケイチャンさん

 ギャグは原作ほどではありませんが、入ります。
 そこはまだ常識を知りえていない天然ハロウ君が頑張ってくれる予定なので、笑えるかどうかの保障は出来ませんがご安心ください。


 三上さん

 無機物主人公は普通にライトノベルとかでもほとんど出てきませんものね。映画だったらロボッツとかありますけど、あれ、どう見ても無機物じゃないし……。
 ましてや二次創作に無機物主人公っていうと、かなりレアな気がします。

 はい。相原さんのサイト傭兵バージョンです。なんか戦争とかの部分で被っちゃったようなそうでないような感じですが、内容的には似ても似つきません。ちょっと安心です。


 SSさん

 ハロウはオートマタというよりは、知識を持ったキノピオです。
 まだまだ不器用なところが抜けないようなので、いまいち掴めないところがあると思いますが、構想上ではなかなか良いヤツです。サイトみたいに決めるところは決めてくれるはずです。


 ホーンさん

 独特な主人公がどうストーリーを作っていくのか、という点に関しては、この第二ページ目のような方針になると思いますので、やはり独特な流れになるんでしょうなぁと予想されます。
 いや、というか必ずそうなります。


 通り縋りさん

 『いちよう』を使ってしまうのがリアルで癖になってしまってるので、なるべく使わないよう心がけます。文章的には不適切極まりないですからね。


 たぬきちさん

 増えてきたのは良いことですけど、長く続いてるやつってあんまりないんですよねぇ……。おもしろそうで先が気になるのに、全然続きが更新されない……そんな作品を何度も見ております。特にクロス物にそのような傾向が強いようで、まぁ、書き難いからなのでしょうけど。


 リフトンさん

 心強いお言葉ありがとうございます。『過程』に関しての描写は丁寧にやっていくよう心がけていきます。意味もないストーリー分岐はただ単に話が壊れているだけですから。
 書く以上、無様な結果は残さないことをここに誓っておきます。


 六月二十二日の記

 三ページ目として投稿していたものの出来に納得できなかったので、更新遅くなっておりますが大幅な構成の変更を得て再度三ページ目を投稿しようと思います。明日か土曜日くらいには挙げられると思うので、待って下さっている方はもう少しだけお待ちください。


 さらに追加

 TD8さんのレスにより誤字が見つかりましたので修正いたしました。TD8さん、どうもありがとうございます。

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