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「魔法生徒極楽3匹娘 第58話(GS+ネギま)」

隆虎 (2011-05-25 00:27/2011-08-19 01:26)
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ブー。ブーと警報音が基地に鳴り響く。
「状況は!?」
「火星型高速戦艦1、護衛艦3。レーダー施設を壊しながら突っ込んでくるぞ! 距離1200!」
 指令所に駆け込んできた白髪の女の声に…どう見ても土偶にしか見えない姿が答える。
「1200だって!? 何でそこまで近寄られるまで気付かなかったんだい!
アーウェルンクスシリーズを出しな! これ以上近寄らせるんじゃないよ!」
「W方向より月神族が侵攻をかけてきます!」
「そこにはデミアンが居るだろう? ウサギどもに奴の守りは抜けないさ
…くそっ、月神族め、侵略者に尻尾を振りやがって」
「奴らから見たらわれわれも宇宙からの侵略者だからなぁ」
 ズンッ…基地に振動が走る。
「敵の長距離砲だ! 第2格納庫が火を噴いている!」
「隔壁閉鎖だ! そこならまだいい…敵の狙いは霊力放射装置か!?」
「あれがなくなったらここなんか左遷場所になるぞ!?」
「今だって左遷場所だよ…ベルゼブルは地上に戻っちまったし…」
 ズンッ…再び基地に振動が走る。
「アーウェルンクスどもは何をやっている!」
「護衛艦と交戦中だ。あっさり挑発に乗って足止めされてるな」
「…余計なことを言うが、フェイトのほうがまだましだ…私が出る!」

「敵の動きがよくなったな…メドゥーサが前線に出てきたか?」
「護衛艦『エイシュン』中破。『ラカン』と『アル』は小破判定ネ。
『ビームオブグリード』砲はエネルギー充填50%」
 基地に対して攻撃を仕掛けている戦艦『スプリングアイランド』艦橋でえらそうに腕を組むのは口ひげなど生やしたナイスミドル。
小鬼の少女の報告を聞きつつ、指示を出す。
「よし、私の合図で砲撃。目標は…この辺。この辺にあのオバハンが居るだろ。当たれば幸いだ」
「キャプテン、月面の月陸軍から通信です」
「うむ。繋ぎなさい」
 小鬼がぽちっとなとスイッチを入れると浮かび上がる立体映像。どことなく着物を思わせる戦闘服に身を包んだ女性指揮官だった。
『ご助勢かたじけない。本来われわれが対処せねばならないところを…』
「これは依姫様、戦う姿もお美しい。…その少しやつれたお顔に、ボクぁ、ボクぁもうっ!」
『い、いけません…私は夫のある身…』
 ナイスミドルの言葉に身悶える女性指揮官。
このアホな掛け合いは双方の指揮官が部下に笑顔で殴られるまで続くのだった。  


「えーと皆さん、来週からボクたち3−Aは京都・奈良へ修学旅行に行くそうです。準備は済みましたか?」
 金曜日のHR。ネギは職員室で事の真偽を確かめ…「言ってなかったっけ? ごめんごめん」と高畑に謝られていた。
その際、行き先は京都・奈良と聞かされたのだが…
「まさか敵の本拠地とは…そんな危険なところでボクはみんなを守りきれるだろうか…」
 成さねばならない任務の難しさに戦慄するネギ。
「この学校は人数が多いため修学旅行の行き先は…先生、ひょっとして京都はお嫌いでしたか?」
 そのネギの難しい顔に、委員長である雪広あやかは表情を曇らせる。
「え? いや、そうですね。京都はちょっと難しいかなーと」
「うちのクラスは留学生も多くネギ先生も日本は初めてでしたので、良かれと思ったのですが…」
 喜んでくれると思ったのだが、ネギはあまり乗り気ではないようだ。残念がるあやか。
「私はハワイのほうがよかったんだけどなー。
いいんちょは『ハワイ?何もありませんわよ?』とか毎年行ってる奴の余裕を見せるけどさー。やっぱ一度は行って見たいじゃん?」
「…だって、本当に海しかありませんもの。それにあなただって京都行きに賛成してくれたじゃありませんの」
 ハルナのコメントにハワイの観光関係者に殴られそうなことを言うあやか。
「私はあまり興味ないデスね。海なんか、夏なんか消えてなくなればいいのデス」
 このコメントが誰のものかはあえて触れないでおこう。
「私行ったことないから楽しみー!」
「楽しみですー!」
 鳴滝姉妹がテンションをあげる。
「うち地元やわー。せやけど今年の正月帰られんかったし。ちょうどええかな?」
 地元民であるこのかも旅行先が京都であることに特に不満はないらしい。
 ネギは生徒たちが京都に行きたいなら、と魔法関係の理由を説明できない以上受け入れるしかないのだった。


「ふーむ。婿殿、何とかならんのかね?」
『ええ…ちょっと、ネギ君が来るのはまずい状況です』
 その頃、学園長は関西呪術協会の長でありこのかの父…要は娘婿の詠春と電話で話していた。
ネギを京都に行かせるので歓迎するように婿である詠春に言ったのだが、詠春はネギが京都に来るのを反対したのだ。
『西洋魔法使いが来ることだってあまりいい顔はしないんですがね。
それだけじゃなくて今ネギ君によく似たテロリストが暴れていまして…ネギ君が誤認逮捕される可能性が…』
 しかし、近右衛門はそんな詠春の言葉に反論する。
「何を言っておるのじゃ。ネギ君の潔白は明白じゃ。
どうせそやつらナギの息子をナギの別荘に近寄らせたくないだけじゃろ?」
 ナギは15年ほど前に京都で大暴れしたことがある。何でもとんでもない大きな鬼神を封印したとか。
その後何度か京都を訪れ、詠春の好意で小さな家を建てたのだ。
『そんな意地悪な考えはありませんよ。大体ナギの家の存在自体覚えているかどうか…
とにかく、来年までには何とかしますから今年は遠慮していただきたい。ナギの友人としてだけではなく関西呪術協会の長としての要請です』
 近右衛門の再三にわたってネギを受け入れるよう要求したが、詠春が首を縦に振ることはなかった。


「…ふむ。困ったのう…。アヤツは部下に舐められているんじゃないかの? ガツンといってやればいいのにのう」
 近右衛門は首をひねる。
京都にはナギの別荘があり、ネギ少年にそれを見せてやりたいのだが、京都側がそれに嫌がらせをかけてきた。
「ネギ君パワーアップ計画も順調とは言いがたいしのう…ナギの別荘に行けばナギの残した秘密のアイテムでネギ君に新たな力が! とか期待できるのじゃが…」
 しかし関西の旧家たちはそれを嫌がっているようだ。それを抑えられない婿もテロリストに似ているだなどとわけの分からない難癖をつけて反対してくる。
「…ま、いいじゃろ。これも魔法界のため、ネギ君のためじゃ。
…そうじゃ。ワシ親書書いちゃお。対立する二つの魔法協会の架け橋になる少年。そしてそれを機に手を取り合う二つの協会。絵になるのう…」
 近右衛門の考えでは、いつか現れるアシュタロトとの戦いのためにいつまでも日本国内で対立しているわけにはいかないのだ。
3人の未来から来た少女たちの『予言』に従うなら、日本国内どころか、超能力者や中国の仙人、キリスト教会とも協力体制を作り上げねばならない。
ここで足踏みしているような余裕はないのだ。

「え? 京都行きは中止ですか?」
 というわけで近右衛門はネギを呼び出した。 
「うむ。京都が駄目だった場合はハワイで…」
「分かりました。生徒に伝えてきます」
「ま、待つのじゃ! まだ中止とは決まっとらん!」
 あっさりと頷き、学園長室を出て行こうとするネギに近衛門はあせる。
ここであっさり納得されると彼としては困ってしまう。
「ボク京都よりもハワイ行きたいんですけど。ハワイ行った事ないですし。海がきれいだって言うじゃないですか」
「生徒の厚意を無にするでない。それに京都だっていいところじゃよ?」
 追い出されたとはいえ近右衛門も京都生まれである。何気に京都よりもハワイが上とか言っているネギにむっとするのだった。
「でも、別に異教の神殿とか別に興味ないですし…」
 ネギとしては何とかして京都行きが避けられるなら避けたいのだ。
何しろ、関西呪術協会の本拠はその京都である。つまりネギの主観では京都は天狗仮面みたいな剣士やデーモンを操る悪の魔法使いが手薬煉ひいて待ち構える敵地である。
そんな危ないところに生徒を連れて行くなどとんでもない。
 異文化の伝統や古都、文化遺産に興味がないわけではないが、ここは興味がない振りをして生徒の安全を優先しなければいけない。
どんな屁理屈でもいいから京都行きを覆さねば…わざわざ敵側が隙を見せたことだし。
「それにのう、京都にはナギの別荘があるし、ナギの仲間の一人が住んでるんじゃよ?」
「せっかくみんなが京都行きを決めてくれたのに中止だなんて。いったい何が問題なんですか!?」
 ナギのことを聞いた瞬間に態度を180度切り替えるネギ。その豹変振りにとがった頭に汗を流す近右衛門。
「先方がかなり嫌がっておってのう」
「先方? 京都市役所ですか? それとも…関西呪術協会?」
 思わず頭に浮かんだ名前を口にするネギ。
「ほう。よく知っておるのう。そう。それが先方の名前じゃよ」
 説明する前から知っているなんて。さすがネギ君じゃのうと喜ぶ近右衛門。
「実はワシ関東魔法協会の理事もやっとるんじゃが。関東魔法協会と関西魔法教会は昔から仲が悪くてのう…」
「えっ…そうなんですか?」
 敵のスパイだと信じていた近右衛門が実は関東魔法協会の理事と聞かされて驚くネギ。
自分が魔法協会のお偉いさんだと知って驚いているらしいネギにフォフォフォと笑う近右衛門。
「今年は一人魔法先生が居るといったら、修学旅行での京都入りに難色を示してきおった」
 実は毎年何人かの魔法先生や魔法生徒が京都に行っているのだが、それに関して関西呪術協会はいい顔はしないが拒絶したことはない。
あくまで、今回は『ネギに』難色を示したのだが、それを隠して話を進める近右衛門。
「ワシとしてはもーケンカはやめて西と仲良くしたいんじゃ。そのための特使として西へ行ってもらいたい」
 一通の封書をこれを向こうの長に渡すだけでよい。とネギに手渡す近右衛門。
そして向こうも一般生徒に迷惑をかけるようなまねはせんじゃろうと言いながら、なかなか大変な仕事になるじゃろうと矛盾したことを言う。
「わかりました。任せてください学園長。
で、父さんの別荘や父さんの仲間はどこに?」
 しかし、そんなことよりネギにとっては父親のことのほうが大切だった。
渡された親書を適当にポケットに突っ込み、更なる情報を求める。
「フォフォフォ。その親書を渡す相手、関西呪術協会の長こそがナギの仲間、サムライマスター近衛詠春じゃよ」
「え…ええーーー!!?」
「彼がナギの別荘のことは知っておるじゃろう」
 敵だと信じていた近衛詠春が父さんの仲間? いったいどういうこと? と混乱するネギ。
「そうそう。孫のこのかのことじゃが。このかに魔法のことはばれとらんじゃろな」
「え? 魔法使いじゃないんですか彼女」
 混乱しているところに別の話題を振られ思考停止するネギ。つい思っていたことを口にしてしまう。
四天王の最後のメンバーである以上、魔法使いのはずなのだ。
「ワシの孫じゃが魔法使いじゃないんじゃよ。親の方針での。なるべくばれんようにたのむ」
「はい。わかりました」
 やはりこのかが四天王最後の一人というのは勘違いだったんだろうかと首をひねるネギ。
「…ところで、ネギ君は何か困ったことはないかの?」
「え? いえ別にないですけど!?」
 首をひねるネギに追い討ちをかける近衛門
「困ったことがあったらこのかに頼ってもいいんじゃよ?
あまりそうは見えんが運動神経もある子じゃし、成績もトップクラスじゃ。きっと頼りになるじゃろ。それに何より美人じゃと思わんか?」
「は、はぁ…」
 フォフォフォといいながら孫娘を売り込む近右衛門だった。


「いったいどういうことだろう…」
「よーよー兄貴ィ!」
 学園長室を辞し、廊下を歩くネギにカモが声をかける。
「何で京都行きに同意しちまうんだよ」
「だって、せっかくのみんなの厚意だし…」
 カモに責められ口をつぐむネギ。
「…まぁ、過ぎちまったことはもうどうしようもねぇや」
「そ、それよりどういうこと? ボクの父さんの仲間だった人が今では関西呪術協会の長って…本当なの?」
 もし本当だとしたら関西呪術協会=悪 父の仲間=善 という、ネギにとっては世界法則に等しい大前提がひっくり返るような矛盾である。
「ああ。まほネットによると事実らしいぜ」
「ま、まほネット情報って嘘が…」
「いや、これは間違いなさそうっスよ。赤い翼の写真はたくさんあるんスけど、
近衛詠春…当時は結婚する前だから苗字が違うけど…は『赤い翼』の名が付く前からの仲間らしいっスよ」
「どういうことだろう…」
 矛盾する情報に混乱するネギ。
近右衛門が関東の偉い人というのは驚きだが、スパイがある程度の地位を持っているのはそう珍しい話ではない。
 いい人である詠春が悪い人の娘と結婚して悪い組織の長…?
「そうか。詠春さんは悪い魔法使いの団体である関西呪術師協会を改革するために長になったんだ。
でもきっとまだうまくいっていないんだよ。
 今回京都に来るなって言うのは…つまりボクに罠だから来るなって言うメッセージを送りたかったんだ」
「なるほど。ありえる話っスね」
 ネギが導き出した答えに納得してみせるカモ。彼にとってその辺の事情は正直どうでもいい。
「それよりも、今気にしなきゃいけねぇ問題は、修学旅行まで…つまりあさってまでに四天王を倒せるかどうかっスよ」
 カモにとって時間が差し迫っているこちらの問題のほうが重要だったのだ。
敵のボスが近右衛門であるかどうかはその後で時間ができたら調べればいい。
 とにかく首の皮をつなぐ為にはそいつの言いなりになって四天王を倒さねばならない。
これが達成できずネギの罪をばらされてしまったら…ネギは死刑にはならないまでもオコジョ刑はかたいだろう。
 ネギが逮捕されれば立派な魔法使い候補の使い魔としての身分も剥奪され自分も逮捕されてしまう。
元々は軽犯罪の下着ドロだったのに、今捕まったら脱獄罪と主人が逮捕されたことによる累刑で懲役が何百年になるか分からない。(妖精は寿命が人間よりずっと長いので百年単位の懲役が簡単に出る)
「(冗談じゃねぇ…俺は『英雄の導き手』になって妹を山の手の学校に入れてやるんだ…! 捕まってなんか居られるかよ!
そのためなら泥を啜ろうが、淫獣と言われようがかまわねぇ、兄貴にゃ立派な魔法使い、立派な英雄になってもらわにゃ…)」
 カモの計画のためにも、ネギにはこんなところで躓いてもらうわけにはいかないのだ。
「うーん。どうしようか…?」
「俺っちの作戦を聴いてくれますかい?」
 だから、薄汚ねぇ事は俺っちのせいにしてもいい。あんたは上に行くんだよ。兄貴。
「今のところ四天王だってはっきりしているエヴァンジェリンと横島タマモ、この二人どっちかが一人で居る隙に兄貴と従者の姐さんがたでボコっちまうんスよ」
「ええっ!? ボコるって…3人がかりなんて卑怯じゃ…」
「ひきょーじゃねぇよ! 兄貴だって3人がかりでボコられたじゃねぇか! やられたらやり返す。ハムラビ法典でさぁ!」
 一応、あの時のどかや自分が居たから3対3であったことは棚に上げである。
「大体、時間がないんスよ? とっとと2人をボコって残り1人が誰なのかゲロさせねぇと…」
「せんせー!」
 そんな状況でネギに駆け寄ってくる生徒。疑惑の生徒である近衛このかと、こちらはまったく疑ってない生徒である椎名桜子だ。
「はい。何ですかこのかさん、桜子さん」
 一般生徒である桜子が居る前ではカモは普通のペットの振りをするしかない。説得は一時中断して黙り込む。
「これ、タマモさんから先生に渡してくれってー。ラブレターかもよー?」
「桜子、タマさんちゃうよ。『見たこともないきれいなお姉さん』や」
「あ、そうだった。『スゴクキレーなお姉ちゃん』だった。ネギ君エッチなことしちゃ駄目だよ?」
「しませんよ!」
 淫行疑惑は否定するネギ。彼は自分がまき絵と淫行しているという噂が流れていて、まき絵が肯定しているということを知らない。
しかし、この二人の態度から察するに手紙の差出人は横島タマモ。しかもそうであることを内緒にしようとしていたようだ。
どういうつもりだろう…それより手紙の内容は…と手紙を開いてみると…

『ネギ・スプリングフィールドへ。
下の暗号を解読せよ。(なぜかここに漫画チックな狸の絵が挿入されている)

たおまたえのだたいたたじなたせたいとたをあたずたかったていたる。かたえしたてほしたけれたばごたごた7じたにちずたのばたしょたまでたささたきたまきたえ・たみたやざたきのたどかたといたったしょたにこたいた。
さたもなたいとたおまたえのただいたじなたせいたとがたえたっちたなこたとをたされたてしたまたうたぞ。

たしたてんたのうたよたり (なぜかその下に地図と『たこたこ!』と言いながら地図上の一点を指差す狸の絵が描かれている)』

 そこに書かれていたのはまったく意味不明な文章だった。
「…えーと?」
「…なんだこれ?」
 目が点になっているネギ。異様なまでに『た』の文字が多いし文章として右から読んでも左から読んでもまったく意味が通らない。
まぁ、そのままでは意味が通らないから暗号なのだろうが…
「タマモさんは白狐仮面って名乗ってたけど…なんで狐じゃなくて狸の絵が?」
「日本じゃ狐と狸は仲良しなんスよ」
「仲良しなのか…」
 そういわれてみると、女の子の描く丸っこくデフォルメされた狸はどことなく愛らしい。
「単に仲良しの狸の絵が描きたかっただけなのかな…?」
 日本語ぺらぺらであるため微妙に勘違いされがちであるが、ネギ少年は日本に来てまだ3ヶ月たっておらず、日本文化に対する理解も浅い。
そのため、子どもでも簡単に解けるような単純な暗号が、ネギにはかえって分からないのだった。


 その夜…
「ま、まさかそんな単純な暗号だったなんて!」
 夜になりまき絵が部屋の外に出られるようになり、まき絵とのどかがネギの部屋に集まった。
その時、ネギは何かヒントでも出ないかと2人にその暗号文を見せたのだが…
「あ、分かるよ? タヌキだから『た』を抜かして読めばいいんだよね」
 暗号文を一見しただけで至極簡単にまき絵が解法を導き出してしまったのだ。
 ネギも同世代の友達と遊んだりした経験があれば、日本語に慣れていなくても似たような暗号から類推して正解にたどり着くことができたかもしれない。
しかし、こんな単純な暗号さえ、難しく考えすぎる彼には解けなかった。
「えへへー。私役に立てた?」
 しかも、自分が解けなかった暗号をすらすら解いたのがアホの子吸血鬼のまき絵である。ネギのプライドは崩壊寸前だ。
「そんなことより、急ぎましょうー。もう遅刻ですよー?」
 3人が集まった時間がちょうど夜の7時。暗号を解くのにかかった時間もあるので既に遅刻確定である。

お前の大事な生徒を預かっている。返してほしければ午後7時に地図の場所まで佐々木まき絵・宮崎のどかと一緒に来い。
さもないとお前の大事な生徒がエッチなことをされてしまうぞ。
四天王より

「エッチな事だなんて! 魔法使いの癖になんて悪いことをたくらむんだ!」
 正義の怒りを燃やすネギ。杖に飛び乗り、のどかとまき絵を後ろに乗せて窓から飛び立つ。
 地図は麻帆良学園・女子中内の公園(高畑が石像になっていた公園)の一角を示している。
寮から杖で飛ばせば5分もあればたどり着く…
「あそこ! なんか変な建物が建ってます!」
「いつの間に…」
 そこには、見事な五重塔…なぜか屋根の上を飾るのは鬼瓦ではなくキューピット像だが…がそびえ立っていた。
そして、その塔の入り口の前に何人かの人が立っている。
 何故か明らかに4人より大勢居て、何故か二手に分かれて向かい合って。

「えーと、何でこのかが来るわけ?」
 タマモがエヴァンジェリンとミステリアスパートナーに扮した古菲を連れてネギが来るのを待っていたら、何故か現れたのはこのかとミステリアスパートナー2名。
状況が分からないタマモはとりあえず尋ねてみた。
「ネギ君に手紙渡しにいくときになー。うっかり中身見てもうたんよ」
「…あー」
 頭を抱えるタマモ。中身を見てしまえば日本人であるこのかにはタヌキの暗号は簡単に解けてしまう。
正直、ネギ以外のいい歳した連中があの暗号文の中身をまじめに取るとは思わなかったのだが。
「それでなー…今度はうちが主役ってじいちゃんと約束してたんや! うちに内緒で撮るなんてずるいわ!」
「えっ?」
 妙なことを言い出したこのかにきょとん、とするタマモ。
「じいちゃんの自主映画やろ? 今度はネギ君主役で、アスナがヒロイン?」
「あー、えーと、うん。そうなの。自主映画。私悪役」
 このかはいつもいつも魔法関係のものを見てしまった時『CG』とか誤魔化されていたため、今回のことも自主映画と誤解していたのだ。
…なお、彼女はCGと人間が一緒に写っている映画は、撮影時にCGが実際に役者が演技している横で空中にCGが表示されていると思っている人である。
 タマモもその誤解は都合がいいのでそのままにしているのだが…
「出番強奪や! うちとこの2人が主役を掻っ攫っちゃうで!」
 その言葉とともに、フード付きマントを脱ぎ捨てるミステリアスパートナー。
その正体は…
「遠からんものは音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!! われこそは甲賀中忍、仮面の忍者 青影でござる!」
「みんなに幸せ配ります。桜子大明神だよー…楓さん目立ちすぎー! 私が目立てないー!」
「拙者、長瀬楓という少女とは関係ないでござる! 仮面の忍者青影でござるよ! ニンニン」
 忍んでいない忍者青影と、このかのクラスメイト桜子だった。 
「…私と刹那がちょっと忙しくなるからこのかの事頼んではいたけど…なんでこういう余計なことするかな…」
「いや、だから拙者仮面の忍者青影でござるから…」
「まてー!」
 そこに飛び込んでくるネギたち一行。
「て、ええっ!?」
 そしてそこに一般生徒だと思っていた桜子と楓が居ることに驚きの声を上げる。
「あ、ネギ君だ。ヤッホー」
「ニンニン」
 そんな彼に気楽に手を振る2名。どうにも事情を理解しているようには見えない。
「ワイヤーアクションなんて派手な登場シーンうらやましいわぁ…うちもそういう登場したかったわ…」
 ちょっとずれたことを言うこのか。空を飛んできたのはワイヤーアクションと納得しているようだ。
「でも、いまさら来たって主役の座はわたさへんよ。ネギ君」
「え? 主役? 何のことですか? 何でここに桜子さんや長瀬さんが…」
 わけの分からないことを言うこのかと、ここにいるはずが無い一般人に首をかしげるネギ。
「じいちゃんの自主映画の主役の座のことや。次の主役はうちってじいちゃん約束したのにネギ君主役でヒーローものなんてずるいわ!」
「え…ええーっ!?」
 自分が必死に戦って(?)来た、この一連の騒動が…自主映画?
そんなバカな…と思う一方、それなら納得、と思う部分も多々あるのだ。
 エヴァンジェリンは吸血鬼を名乗っているが日光を受けても平気だったし、自分も血を吸われたのに下僕にされていない。牙だって生えていたのはあの一夜だけだ。
それに何より真祖にしては弱すぎる。まき絵と比べると吸血鬼として足りない部分が多すぎる。吸血鬼の情報をどうしても教えてくれなかったことも、実は吸血鬼でもなんでもないとすれば当然だ。
 シロはウェアウルフらしいが、獣人化したところは誰も見ていない。茶々丸はロボだというがおっぱいミサイルも出さないし、キーンと走ったりもしていない。
 そう言えばこの二人がそういうモンスターだという情報はカモが言った事を鵜呑みにしただけだった。その他にも、まほネットの情報などもカモが出してきたものを信用して自分で裏を取ったりしていなかった。
今考えてみれば、情報はほとんど全部カモが出してきたものとそれを元にカモをまじえて推理したもの。もしもカモが嘘をついていたとしたら、ほとんど全ての前提が崩れてしまうのだ。
 つまり、近右衛門とカモが共謀してネギを担いで、魔法生徒にモンスター役をやらせている自主映画だと考えれば、引っかかっていた疑問も含め全て説明できてしまうのだ。
「え、映画…これ全部…?」
「あ、兄貴? しっかり…」
 ショックのあまり崩れ落ちるネギ。映画だとしたらまき絵の吸血化とか新たな疑問も出るのだが、今のネギはショックのあまりそこまで頭が回らない。
「せ、せんせー?」
「ネギくぅん!?」
 目の前が真っ暗になったネギには従者二名の声も届かない。
「あああんまりだぁぁぁ!!」
 騙されていたと気付いて絶叫するネギ。
「…? まぁええわ。ネギ君が行かないならうち行くえ!」
「ま、待ってこのかー!」
 固まってしまったネギを尻目に元気よく五重塔に突っ込んでいくこのか、そしてそれを追いかけるタマモ。「これはイカンアル」と壁を蹴って5階の窓まで駆け登るミステリアスパートナー。
説明役がいなくなってしまったため3人残されるネギ一行。

「ど、どういうことなの? ネギくん!?」
「ぜ、全部…お芝居だったって事です…四天王も、エヴァンジェリンさんが吸血鬼だとか、犬塚さんがウェアウルフとか、茶々丸さんがロボだとか…」
 事情が理解できないまき絵が聞いてくるのに固まりながらも何とか言葉を搾り出すネギ。
「兄貴! 何言ってるんだ!」と騒ぐカモをポケットの奥に押し込む。彼とは後でじっくり話し合わないといけない。
「じゃあ、ネギ君死刑じゃないの?」
 ネギの言葉に、ぱぁぁ。と明るい顔をするまき絵。
「…あ、そうですね。ボクは…犯罪者じゃないんだ! よかった!」
「判決はお芝居だったとしても…罪状それ自体は全部事実だと思いますけどー?」
 まき絵と同じように表情を明るくしたネギだったが、のどかの突っ込みにその表情のままピシッと固まる。
「と、とりあえず一回帰って方策を考えましょう!」
 お芝居だとか、自主映画だとかは興味がないので撤退を提案するネギ。
とりあえず事情が完全には理解できないでいる二人もそれに同意するのだった。


「ふふふ。せっちゃーん。うちと『お話』しようやないかー」
「ま、またこのパターンですかー!!?」
「ところでタマさん、人質って誰やったん?」
「アスナだけど、明日バイトで早いって言うからもう解放してあるわ」
「そかそか。ほな後はみんなをやっつけるだけやな? 
あ、そうそう。うちに生き別れの妹がいたような気がしてたけど、そんなことなかったわ」
「そうなの…って、私4階守護者の役だから! ここで攻撃しちゃ駄目ー!」


<あとがき>
 まるで夏を思わせるような陽気で汗ばむような日もあるこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
三匹娘の58話をお送りします。今回も駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
 ついにネギ君は目の前に迫り来る試練が、相手からするとお芝居であったことに気付きました。
まだ微妙に勘違いしている部分はありますが。
 OPシーンは謎です。読者置いてけぼりでフォロー無しです。
 刹那とタマモが忙しいのでこのかの護衛は楓に頼んでいたのですが…楓はこのかを止めもしないで危険なほうに行かせてしまうのでした。
まぁ、待っている相手が刹那やタマモなので本当は危険でもなんでもないことを分かっているからやったことですが。
 近右衛門の株ダウンは、修学旅行に関しては言い訳のしようがないと思います。
・向こうが嫌がっているのを承知の上でネギの随行を強行。
・このかに危険があるのを承知の上でネギに生徒の護衛から離れざるをえない任務を与える。
・婿への私信とはいえ外交的侮辱として宣戦理由になりかねないようなものを公式な親書に紛れ込ませる。
・修学旅行で魔法先生が居なくなっているのに即応体制を整えていない。
 多分、ネギに点数を稼がせるために危険の少ない任務を与えたつもりだったんでしょうが…
天ヶ崎千草やフェイトのことは知らなかったでしょうから危険の大きさについて過小評価していたのは仕方ないにしても、
上の点に関しては近右衛門のミスでしょうね。一週間契約で傭兵くらい雇うべきでした。
 まぁ、何度も述べておりますが『大人がまともに優秀なら中学生たちが活躍する余地は無い』という話の都合上学園長は駄目な人設定になっています。
 このSSにおいてネギがエヴァンジェリンに脅されて逃げて楓に拾われるイベントは発生していません。図書館島探検はネギ不参加でした。
よってネギは楓のことを普通の一般人だと思っています。
 あと、今更とは思いますが『ミステリアスパートナー』とはフード付きのマントで正体を隠した謎の人物です。
正体がまだ決まっていない時やもったいつける時に使用します。
どう見ても体型が変わっていることも多々ありますが突っ込んではいけないお約束です。一昔前のジャンプ漫画で多用される表現です。


 では、レス返しを

kntさま>
 ちょっと思うい込みが激しくて人の話を聞かないだけで素直ないい子なんですよ。
早く立ち直ってくれるといいんですがね。

ぐだぐださんさま>
 まき絵の吸血鬼化に関しては治療したのはエヴァンジェリンですが、通常に治療は行われています。
ただ、魔法秘匿の関係上、治療後の経過観察ができなかったのと、
まき絵がちゃっかりメルキセデクの書を入手して隠された素質が表に出やすくなってしまい、治療で隠れて消えるはずだった吸血鬼としての素養が表に出てしまったのに経過観察していなかったので手遅れになるまで誰も気付かなかったという設定です。

通りすがり六世さま>
 母親も結構面倒くさい性格してますからね。ただ女なので男であるナギに頼ることができました。
(封建制のお姫さまなので封建的な考え方でも仕方ないですね)
ネギは…男の子なんだからこうあるべき、という部分もあってどんどん自分で抱え込み、思い込みで暴走していきます。

masaさま>
 文化とか歴史とか言わなくても、ネギは『魔族に住んでいる村を滅ぼされた』トラウマ持ちです。
そしてその復讐のために魔族を滅ぼす強力な呪文を10歳にして習得と言う暴挙をやらかした少年です。
家族同然の村人たちを目の前で不条理に奪われたんです。…正直、彼に魔族萌え文化を受け入れろというほうが無理でしょうね。

ぱんぱんさま>
 泥沼に落ちたけど二重底ではなかったようなので何とか這い上がれるでしょう。
せっちゃんはいったい何を食べてしまったんでしょうね…

くまさま>
 妖精といえばカモ君がいますが。ネギ視点では妖精と悪魔は全然違うのですよ。
…われわれの視点だと大して変わらないですけどね。
自国民が信仰する神様さえ悪魔と同じ括りにしちゃうゲームもあるくらいに。

戦場ヶ原ほむらさま>
 ネギはキリスト教徒じゃないですね。彼が十字架持っているところ見た覚えはないですし。
吸血鬼との戦闘時に集めたマジックアイテムにも十字架はありませんでした。
 でも、彼は『村を悪魔に滅ぼされたトラウマ』で悪魔を無条件に悪と認識しています。
鬼と悪魔を同一視してしまったのがいけないんですよね。

デフロボさま>
 なるほど。宗教上の理由とか、ベジタリアンと言う信条とかなら西洋人は引き下がりそうですね。
確かにネギは「でも…」とか食い下がりそうな不安はありますが。
 五重塔は当初一回に一人ずついる敵に一人ずつネギの仲間たちが戦いを挑み、ネギは柱を登ってゆくのを想定していましたが、さすがにやめました。

むじなさま>
 ネギは別に異教徒を敵認定したりはしないですが、西洋魔法…というより自分の物差しで他の魔法を見るのは間違いないですね。
きっとアラジンも『悪魔を操り我欲を満たした邪悪な魔法使い』でしょう。
 アラビアンナイトはアラビア=イスラム圏ですからイギリスの方から見れば異世界のお話ですよ。

絡操人形さま>
 まぁ、魔法使いの方々はいまだに魔女狩りを引きずっているようですし。
微妙に価値観が古いのはあると思います。
 魔法使いが悪魔の同類、と言うのはキリスト教的な価値観でネギが持っている価値観とは違うと思いますが。
…このSSでは西洋魔法はかつて悪魔が(魔装術のときと同じように、魂を魔に堕とすために不完全に)伝えたと言う設定があるのでキリスト教的価値観で間違ってないんですけどね。

くろしおさま>
 吸血鬼化してるのはまき絵です。でもって彼女はいいんちょほど表には出しませんがショタコンです。
のどかもいつまでこれに惚れていられるのかは微妙ですが…のどかはショタじゃなくてネギの中の大人の部分に惚れたと言うのがどうにも…複雑怪奇な性格です。

ありゃりゃさま>
 3匹娘を振り回すのはネギよりこのかですね。
タマモがどうにも彼女に弱い。まぁ、だっきちゃんは駄目亭主に本気で惚れて引き際を間違って殺されるという人物なので、その転生であるタマモも突っ張ってはいるけど懐に入られると駄目駄目なんだと思っています。

ゲットンさま>
 ネギの活躍シーンを見ていないこのSSのアスナにとって、魔法とは服を脱がせたり風呂場で悪戯したりするためのエッチなものなのです。

オズさま>
 まず申し上げたいのですが、あなたが『ありえませんよ』と言っているのは全部『このSSの設定』ではなく『全てを理解しているわけではない一人の少女の主観』です。読者視点で『間違っている』と分かることと、登場人物のそれは違います。
このSSは誤解の上に誤解を積み上げてカオスになる状況を楽しむものです。ありていに言えばネギ以外の登場人物もみんな何かしら誤解しています。完全に正しい情報を誤解なく受け取っている人物は私は一人も登場させておりません。
あとがきにきちんと『エヴァンジェリンの回答は完全回答ではない』と書いたのですが。説明が足りなかったようですね。申し訳ありません。
 何でそんな主観なのかと疑問に思うかもしれませんが、『赤い翼』って奴らは個人の意思で動かせる程度の少数の癖に決戦兵器を複数擁した軍隊を蹴散らしてしまう『不可能なこと』をやってのけた怪物どもなんです。
その力と神格化同然の名声は抑止力になっている…ように見えてもおかしくはないでしょう。
忘れないでください。エヴァンジェリンの精神年齢は10歳です。ひねて見せても彼女はヒーローの実在を信じる子供なんです。
 あと、境界線に市民を移住させて『この土地は我々の同胞が住んでるから我々の領土!』と主張するために都市を建てること。戦争終了で国境線が移動したこと。これってどう考えても国境問題がある証拠ですよね?
 差別がある、というのも刹那の主観であって設定ではありません。彼女が『差別されてない』とか思うのなら魔法関係者には異種族であることを隠す理由がないのです。
『掟』はあくまで『姿を見られたら』です。口で正体をばらすことは禁止されていません。普通に考えて近右衛門や高畑、詠春、刀子は事情を知っているでしょう。
ところで『専守防衛主義』で『女子供には絶対に手を出さない』きわめて平和的な人物であるエヴァンジェリンが600万ドルの賞金首で、まったくそんな事実はないのに子供を浚う恐怖の存在に貶められたのは、西洋魔法使いの『吸血鬼』と言う亜人種に対する排斥傾向が原因だと思うのですが、どう思います?

タイガーさま>
 ネギだけでは解決できなさそうなのでこのかにちゃぶ台をひっくり返してもらいました。
せっちゃんはいったいどうなってしまうのでしょうね。
貝殻のネタはせっちゃんと食べ物が結びついたときからやりたかったんです…

MAHOさま>
 アスナの生活費の設定ありがとうございます。(一巻読み直し)『学費を稼いでいる』とは言ってますが、学費以外の生活費・食費などに関しては『昔からこのかのおじいちゃんにお世話になっていた』…過去形なのが気になりますが、たぶん今もお世話になってるんでしょうね。
…この設定だとますます頭が上がらないじゃないですかw 朝の郵便配達だけでいったいいくら稼げるんでしょうね。


<おまけ・横島君漂流記?>
「で、ヨコシマ、おしりを…」
「ルシオラはそんなムードもへったくれもないことしないんじゃー!」
 固まってる横島を前にお尻を出そうとした空亡だが、再起動を果たした横島が彼女の演技に駄目出しをする。
『うんうん。ムードは大事よ?』
 横島の心に住んでいる悪魔も同意のようだ。
「えー? ムードとか言われても分からないよ。
…何というか、ヨコシマ、この人には会いたいだけでエッチなことをしたいって感じじゃないね。最初の人に戻ったほうがいいかな?」
 しかし、正体は幼女である空亡はいまいちその辺の機微が理解できない。
「ふっ。無駄だ。今の俺は賢者モード。美神さんがお尻をぺろんとしても…やっぱ駄目かも。その姿のままでいてください」
「えー? 二人で一つになってここに赤いタグをつけようよー」
 微妙に自信のない横島に理解不能な発言で迫る空亡。
「そんな誘惑には屈しない。横島忠夫は愛を取り戻した。あと10年は戦える!」
 しかし、横島は相手の声はルシオラのものだが口調がまるで違うため何とか冷静さを取り戻しつつある。
「むー。じゃあどうするのさ。お嫁さんにしたくないのかー?」
「今はお嫁さんとかお婿さんとかそういうのじゃなくて…お父さんに俺はなる!」
 ルシオラは恋人として添い遂げることはできなかったが、親としてもう一度出会うことができるはずなのだ。
そのときは立派なお父さんになると決意を述べる横島。
「…お父さんかー…うん。わかった」
 それに対し、何故か変身を解除して頷く空亡。
「それでは…」
「のわー!?」
 そして横島の足をつかんでひっくり返す。
突然の行動に反応できない横島のズボンのベルトをはずすと、ジーパンを剥ぎ取る空亡。
「な、いきなり何をスルんやー! そういうのはもっと優しくー! じゃなくて、ワイは、ワイはー!」
 突然の行動にピントのずれた抗議をする横島。
「いただきます」
 そんな横島を無視して両手を合わせて横島の体のどこかにお辞儀をする空亡。
「ら、らめぇ! アッーーー!」
 ありえない悲鳴を上げる横島。空亡はそんな横島の体の一部にかじりつくのだった。

「これでよこっちは私のパパなのだー!」
「いきなり人の足に噛み付いて血を吸って、パパだとか、どういうことなの…?」
 さめざめ泣く横島。その脛にはばっちり小さな歯形が残っている。
「子は親の脛をかじるものなの。そしてよこっちの血とかその他もろもろが私の一部になったんだよ」
「その他もろもろって何!? 何を吸った!?」
 お婿にいけなくなるようなもの吸われたんじゃないかとがくがくの横島。
吸われている間少し気持ちよくなっていたのは最高に秘密だ。
「子には親の血とかその他もろもろが引き継がれるものだからいろいろ吸ったんだよ」
「大体なんで俺がパパなんじゃー!?」
「私をお嫁さんにしないでお父さんになるって言ったー」
「あれはルシオラの話じゃー!」
 勘違いされて脛をかじられたと知って泣きながら抗議する横島。
彼としてもまだ結婚もしていないのに子持ちになどなりたくはない。既に腹を痛めて産んだ子がいるという説もあるが。
「じゃあやっぱり私をお嫁さんに? 別に親子でも気にしないかー」
「…親子でお願いします」
 子供にするのを拒否するとまた力ずくで一つになろうとする気配を察し白旗を上げる横島。
「横島殿! まさか空亡を子分にしてしまうとは…」
「そこにしびれる、あこがれるゥ!!」
「そんな横島殿に、ワシは、ワシはぁっ!」
「うほっ、いい男…」
 空亡からおびえて逃げていた妖怪たちが横島のそばに戻ってきた。
どうやら空亡はよほど恐れられていたらしい。そんな彼女を子供にしてしまった横島を口々に褒め称える妖怪たち。
 そして、一斉に横島の前で跪き、
「どうか、われらにも親分・子分の盃を!」
「男は嫌じゃー!」
 揃って横島の子分になりたがるのだった。
そんな妖怪たちの言葉に、横島は魂の叫びを上げるのだった。


<おまけその2・次回予告>
 ついにやってきた修学旅行。
「楽しみだなー、京都! 早くつかないかなー!」
「兄貴、このカエルは!」
「ボクは要らないからカモ君食べていいよ。早くつかないかなー!」
「兄貴、親書は…」
「だから食べちゃっていいってば。カモ君次は新横浜だって。京都はその次かな?」
 他の事が目に入らないほど京都探索を心待ちにするネギ少年。

 このさきには暴力的で鬼のようなラスボスどもがあなたをまっています。
それでも 京都に行きますか?

 は い  <いいえ>

「ええっ!? 何で『いいえ』にカーソルがあってるんですか!?
もちろん『はい』ですよっ!」

「ふむ。なるほど…勇気ある少年よ、私は芦優太郎だ。旧家である芦家の当主をしている」
「ベール・ゼファー。ぽんこt…じゃなくてイスタンブールからの研修生よ」
「お嬢様に仕える執事、ヴィルヘルム・ヨーゼフ・ヘルマンと申します」
「…使用人フェイト・アーウェルンクス。今はそう名乗っている」
「一応うちもいますえ」
「「「その他もろもろダゼ」」」

「というわけで。…死ぬがよい」


 君は…生き残れるのか!?

 次回、魔法生徒極楽3匹娘 第59話 ご期待ください! 

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